社会情報学
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研究
ディープフェイク動画に対する民事的救済の権原について
境 真良
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2020 年 8 巻 3 号 p. 147-163

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抄録

ディープフェイクは,動画又は写真の人の容貌データから,別の動画の特定の人の容貌をそれに似せて合成する偽作動画作成技術である。その被害を受けるのは自らの容貌で偽作動画を生成された芸能人等の著名人であるが,偽作動画の公開の民事的差止を行う際に,ディープフェイク以前の手法であれば有効であった実演家の隣接権は,容貌データ上の実演記録と偽作動画の間に表現の類似性・依拠性が認められにくいことから用いることが困難であり,アイコラ裁判等に鑑みると,肖像権又は肖像パブリシティ権に基づく請求が認められるのみである。現状のディープフェイクによる偽作動画の内容及び公開態様からみて,容貌再現の制度が高ければ差止請求の認容は可能性が高いが,財産権である肖像パブリシティ権に基づくのではなく,人格権たる狭義の肖像権に基づくことになろう。しかしながら,人格権は権利者本人が行使することが必要とされ,一般的に芸能人のビジネス支援(ビジネストラブルの解消を含む)を行う芸能プロダクションはこれを行使できない。偽作技術の発展,根拠となる権利として著作権法上の実演家隣接権が選択不可能となり肖像権(人格権)に限定されることで公開差止の法的請求を行いにくくなることは,産業実態上の不都合を生じる。これを緩和ないし解消するための新たな法解釈や立法措置が望まれる。

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