日本LCA学会誌
Online ISSN : 1881-0519
Print ISSN : 1880-2761
ISSN-L : 1880-2761
解説
持続可能な消費と生産における消費側評価指標
松永 千晶鶴見 哲也馬奈木 俊介
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 15 巻 2 号 p. 144-151

詳細
抄録

本稿は、持続可能な消費と生産(SCP)政策の効率性アプローチから充足性アプローチへの変遷について概説した上で、消費者側の充足性アプローチに基づいた政策評価指標開発とその適用結果について述べるものである。まず、主観的幸福度指標を用いた消費と充足性の関係の分析では、「感情」の意味では消費増大が満足感に結び付きにくい一方で「人生の評価」の意味では消費が増大するほど満足感が得られるということと、物品より社会関係資本に関する消費増大の方がより満足感が得られることが明らかになった。続いて新国富指標(IWI)の理論的枠組みと、GDPとの比較から、IWI が単独で国や地域、個別の政策の持続可能性を評価しうる指標であることを示した。さらに、実際の地方自治体における新国富(IW)を活用した社会関連資本整備に関する政策評価の事例から、 SCP政策評価指標としての可能性を示した。

著者関連情報
© 2019 日本LCA学会
前の記事 次の記事
feedback
Top