日本LCA学会誌
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木質建材のライフサイクルアセスメント
中野 勝行
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2020 年 16 巻 2 号 p. 72-78

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抄録

木材は建材として古くから用いられてきた一般的な素材である。これまで木造建築物は主に低層建築物に用いられてきたが、近年は中高層木造建築物のプロジェクトが世界各国で広がっている。これらは直交集成板(CLT)など様々なエンジニアードウッドの活用によって実現されている。エンジニアードウッドは一般的な製材に比べて機械的特性、品質の安定性が良い。しかし、その製造工程はより複雑であるだけなく、一般的な製材とは異なり接着剤を使用する。そのため、これら木質建材については LCA によって環境性能の評価が実施されてきた。そこで、本稿では木質建材の LCA に関する既往研究の整理をした。また日本、欧州、米国における建材関係の製品環境宣言(EPD)発行状況を整理し、その評価方法について考察した。特に、本稿ではバイオマス由来炭素の評価方法、木質建材の製造段階における環境負荷、使用段階における接着剤由来のホルムアルデヒド放散による人間健康への影響について論じた。

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