2022 年 18 巻 4 号 p. 220-229
マンガン団塊、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥などの海底鉱物資源は、近未来の金属資源として注目されている。本解説では、これらの研究開発の背景や歴史的な取り組みについて紹介する。マンガン団塊については、1970 年代末に実海域での 3 回のパイロット採鉱試験が行われた。その際、先駆的な環境影響モニタリングも同時に行われた。21 世紀に入って最初の 20 年間は、海底熱水鉱床が商業開発の最初のターゲットとして注目された。現在、海底鉱物資源の開発に向けては、環境保全策など、いくつかの課題を解決しなければならないが、商業的開発の可能性は高いと考えられている。研究開発には、国家的なものだけでなく、多くのベンチャー企業も参入している。日本国内での海底鉱物資源開発を実現するためには、日本独自のアプローチを模索する必要がある。