日本LCA学会誌
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産業の脱炭素化モデルとネットゼロにむけた国際的な産業クラスターのイニシアチブ
土井 麻記子
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2024 年 20 巻 2 号 p. 68-76

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抄録

本稿の目的は、産業団地における国内外の産業の脱炭素化に向けた取組を解説し、読者と共に日本での将来の実装イメージを共有することである。筆者は実証事業を通じて焼却炉を核とした地域循環共生圏モデルのうち素材産業、地域製造業との連携方法を区分した。そのうち、素材産業連携モデルでは、将来的に焼却炉が炭素循環プラントとなることが期待される。海外では、素材産業と連携して焼却熱を産業に供給する事例が複数あるため、その一部を本稿で紹介した。実装にむけて重要な視点である広域輸送の調査結果も示した。加えて、世界経済フォーラムが主導する「産業クラスターの移行イニシアチブ(Transitioning Industrial Clusters initiative)」の取組を紹介した。産業集積地では脱炭素化方策として、グリーン水素、H2 と CO2 のパイプライン、再生可能エネルギー、産業への廃棄物焼却熱供給、ケミカルリサイクル、電化、排水共同処理を視野に入れている。そこでは、脱炭素化実現のためには、関係者のパートナーシップ、ポリシー、技術、融資面での整備も必要と結んでいる。日本でもこれら海外の動きを参考にして、国内で連携を構築することにより、産業団地のカーボンニュートラルを推進していくことが必要である。

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