2025 年 21 巻 2 号 p. 58-70
二次電池は充電・放電を繰り返して利用可能な蓄電装置であり、電子機器や電動アシスト自転車、再生可能エネルギーの蓄電、電気自動車(EV)など幅広い用途で利用されている。脱化石化に向けたエネルギー転換においても重要な役割を担い、今後の導入拡大が見込まれる。二次電池のライフサイクルは、原材料調達から製造、使用、廃棄・リサイクルまでの過程を含み、ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境影響評価が進められている。特に、リチウムイオン電池(LIB)は主要な二次電池であり、その正極・負極材料や電解質の選択が性能や環境影響に大きく関わる。既往のLCA研究では、正極活物質の種類や製造技術、電力原単位が結果に影響を及ぼすことが示されている。使用段階では、充放電効率や用途による影響が大きく、EVの導入が環境負荷低減に貢献する一方、電源構成や充電インフラの状況によりその効果が変動する。また、定置型用途では、太陽光発電と組み合わせた水素製造などでの活用も検討されている。廃棄・リサイクルの段階では、金属資源の回収技術やプロセスが多様化し、直接リサイクルや湿式製錬などが比較されている。環境負荷を低減するには、リサイクル技術の組合せが重要である。今後、二次電池技術の急速な進展を考慮し、適切な評価基準の確立と持続可能なシステム設計が求められる。