脱炭素化の潮流のなかで、世界では電気自動車(Electric Vehicle; EV)への移行が加速している。EVは、新車製造、中古車流通、バッテリーリパーパス、リサイクルという複数フェーズからなる資源循環の可能性を有している。本稿では、資源循環型製品としてのEVの潜在能力について多角的に分析することで、日本のEV市場における資源循環の課題と展望を明らかにした。日本市場では中古EVの約8割が海外に流出し、資源循環のボトルネックとなっているが、その背景には、バッテリー性能への不安や市場の透明性不足等の構造的な課題が存在する。この課題に対して、バッテリー性能評価基準の確立や残価保証プログラムの導入等の解決策を提示した。