日本LCA学会誌
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解説
EV電池のサーキュラーエコノミー市場形成を促進するスマートユース
木通 秀樹
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2025 年 21 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

本稿では、近年、急速な普及が進む電気自動車(EV)および電池のサーキュラーエコノミーの市場形成の課題解決に向けて、利用側からのアプローチであるスマートユースを提案する。現在、我が国のEV電池のサーキュラーエコノミー市場には様々な課題がある。多くの課題は利用時の不安などが原因となっており、リサイクル手法やリユース電池製造などの供給側の改善のみならず、利用側の改善が必要となる。こうした課題を改善するには、電池の診断等の技術を活用した状態把握をすることで利用者の不安を解消し、利用者の積極的な利用を支援する方法などがある。サーキュラーエコノミーは廃棄物を出さないように製品と資源の利用価値を最大化することで新市場を形成する。スマートユースはこうした利用価値の最大化を利用側から行う取り組みの一つであり、高度なIoT等のデジタル技術を活用して利用者の積極的な行動を引き出すアプローチとなる。今後は、解決方法の具体化と普及促進を行うことで、我が国の市場の早期形成を目指したい。

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