日本LCA学会誌
Online ISSN : 1881-0519
Print ISSN : 1880-2761
ISSN-L : 1880-2761
解説
植物資源由来材料にまつわる未来志向型LCA
菊池 康紀
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 21 巻 3 号 p. 166-175

詳細
抄録

カーボンニュートラル達成に向け、化学産業における炭素源は化石由来からリサイクル由来、バイオマス由来、大気中のCO2由来へと移行する必要がある。しかし、現状の調達可能なバイオマス資源量では需要に対して不足があり、農工連携技術やリサイクル資源の質的・量的向上が求められる。新たな資源技術・変換技術の導入による変革が必須となっているが、これには将来技術の評価が不可欠となる。本稿では特に木本系リグノセルロース資源由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nanofiber; CNF)に着目し、未来志向型ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment; LCA)を通じてその製造・利用に関する評価の観点を整理する。CNFは鋼鉄並みの強度や低密度、加工特性などの特徴から自動車や電子機器などへの応用が期待される一方、生産段階での地域差やインベントリ推算の課題、また製品のリサイクル・回収システム構築などが求められる。これら将来技術の課題を捉えた評価の方法を事例と共に議論し、植物資源由来の素材選択における未来志向型LCAの観点を整理し議論する。

著者関連情報
© 日本LCA学会
前の記事 次の記事
feedback
Top