2025 年 21 巻 4 号 p. 202-211
レンタルやシェアリングといった、消費活動を所有から使用へ促すビジネスモデルの総称である製品サービスシステム(Product Service Systems; PSS)は、顧客ニーズを満たしつつ、脱物質化により環境負荷を削減するとして長らく注目されてきた。そのPSSの環境影響を定量化しようと、過去15年の間に多様な製品に対してLCA事例が発表されてきたが、実際LCAを用いて製品とサービスが混在するPSSを評価することは複雑で、一筋縄ではいかない。本稿では、PSSを対象としたLCAを実施する上での留意点と課題を整理することを目的とする。まず、LCAによるPSSの環境影響評価手法を既往文献をもとに解説する。その上で、具体例として衣服のレンタルサービスを取り上げ、複数の評価事例から目的と調査範囲の設定が結論と解釈にどう影響するのかを議論し、今後PSSのLCAを実施する評価者に向けて留意点をまとめる。