2025 年 21 巻 4 号 p. 212-218
本稿は、循環経済実現に向けた製品有効利用を目指すビジネスモデルへ関心が高まる中、リユースとシェアリングの有効性に注目し、これら利用形態における中古品の消費者受容性について先行研究に基づき紹介する。消費者の製品利用の現状は、不定期に利用される趣味用品にはリユースが、使用頻度の低いイベント用衣類等にはシェアリングが高い適応性を示す。これは、既存の消費スタイルやニーズに合わせた形態の可能性を示す。中古品を用いたこれらの利用形態を消費者に受容させるために二つの重要な点がある。第一に、消費者の行動変容には既存習慣の変更が大きな課題であり、特に未経験者にとって習慣変更自体が障壁となる。第二に、経験者には、費用や手間の低下といった実用性、効率性、利便性への貢献提示が重要である。本稿の知見は、環境負荷低減と持続可能なビジネスモデルの社会定着に現実的な示唆を与える。