停電時の電気機器の機能維持は喫緊の課題である。本稿では、日本電機工業会の「電気機器向け費用便益分析ガイダンス(JEMAガイダンス)」をふまえ、同ガイダンスに記載のない、電気機器の機能停止と損害の因果関係および条件を設定することで、自然災害停電に起因する電気機器の機能停止に伴う損害額の算定プロセスを検討した。このプロセスに基づき、統計データを用いて評価条件を設定し、工場、学校、病院等における空調・冷凍機能停止に起因する損害について、発生後数時間の効率低下および体調不良による人的損害額、品質劣化による物的損害額、さらに供給不能電力量あたりの損害額(円/kWh)を試算した。試算結果から、損害の対象や種類に応じた損害額の発生タイミングおよび規模感を把握するとともに、プロセスの検証を通して損害額算定における課題を抽出し、今後の改善方策を考察した。