実試料を分析する上で肝要な事は、分析種(analyte)と試料マトリックス(matrix)を知る事に尽きる。事前に知っておく可き基礎的な情報としては、分析種については試料中の推定存在濃度、分析種の化学的・生物学的性状(特に安定性)、又、マトリックスについては妨害成分の種類と濃度である。分析種が化学的に特定出来る場合には、試料中の濃度を勘案して検出法を或る程度絞る事が出来、適した前処理法と分離法の設計が可能になる。総論では、試料を LCや LC/MSで分析する場合の化学操作ごとに主な定石とコツを紹介するが、本稿では前処理について解説する。