LCとLC/MSの知恵
Online ISSN : 2436-1194
1 巻
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目次
巻頭言
総合論文
  • 長江 徳和
    原稿種別: 総合論文
    2020 年 1 巻 p. 8-27
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    逆相クロマトグラフィーで用いられるシリカ系逆相固定相について、以下の事柄を考察した。固定相の種類により、分離の選択性は変わるが、保持そのものは炭素含有量により決まる事が多く、炭素一個分の差がある化合物の分離係数は、保持時間が同じになる様に移動相中の有機溶媒濃度を調整すると、C1 から C30 の全てのアルキル基固定相で同じであった。有機溶媒濃度が 5 %以下の移動相を用いた時の保持の減少は充塡剤細孔内から移動相が抜け出す事により起こり、これは毛管作用が働いている。逆相固定相は移動相の有機溶媒の種類により膨潤度合いが異なり、メタノールでは殆ど膨潤しないが、テトラヒドロフランではアルキル基が立ち上がる程膨潤した。有機溶媒の種類の差による分離は移動相の変化 と共に固定相の変化も寄与していると考えられ、膨潤による固定相の容量が増える事により、保持は増加した。

報文
  • 小林 宏資
    原稿種別: 報文
    2020 年 1 巻 p. 28-40
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    タンパク質の安定した LC/MS 分析へ向けて、モノリス形シリカを利用したナノフロー LC 用ミクロトラップカラムを開発した。開発したミクロトラップカラムは、内径 0.2 mm、 長さ 35 mm、容積は約 1.1 μL である。シリカ表面へブチル基(C4)修飾を施した C4 修 飾モノリス形シリカキャピラリーカラムは、イソクラティック溶離により、タンパク質可 溶化に使用される界面活性剤(CHAPS)とタンパク質が容易に分離される事から、トラッ プカラムとして有用であると考えられる。本トラップカラムを使用する事で、インタクト なヒト血清アルブミンリコンビナント(human serum albumin recombinant、rHSA)と 還元処理を施した rHSA の分離挙動に違いが認められ、ピークを比較する事により、還元 反応の追跡も可能であると考えられる。高濃度のタンパク質可溶化溶媒(10 mmol/L CHAPS、1 mmol/L EDTA・2Na、6 mol/L グアニジン緩衝液)に溶解したタンパク質試料 においても、トラップカラムを使用する事で、直接 LC/MS 分析が可能であった。

技術論文
  • 西岡 亮太
    原稿種別: 技術論文
    2020 年 1 巻 p. 41-49
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    HPLC によるキラルアミンの鏡像異性体分離において、2 種類の異なるキラル固定相の分離性能を 1-アリールエチルアミン類を試料として比較した。クラウンエーテル形キラル固定相(CSP-1)は、1 位のアリール基に嵩高い置換基を持つアミン類に対して優れたキラル 分離能を示した。一方、水酸基をアセチル化した β-シクロデキストリン形キラル固定相 (CSP-2)は、1-フェニルエチルアミンとそのモノ置換体及び 1、2-ジアリールエチルアミ ン類のキラル分離に有効であった。CSP-1 と CSP-2 は、置換基の異なる 1-アリールエチル アミン類に対して、互いに相補的なキラル分離能を有する事が認められた。両固定相で共に分離したキラルアミンの鏡像異性体の溶出順は同じであった。これら 2 種のキラル固定相をそれぞれの特性を考慮して選択する事により、多くのキラルアミンに対するキラル分離メソッド開発が可能になる事が期待される。

解説
トピックス
  • 小寺澤 功明, 尾坂 裕輔, 松本 恵子, 渡邊 京子
    原稿種別: トピックス
    2020 年 1 巻 p. 62-68
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    液体クロマトグラフの発展に伴い、より簡易な操作でLC分析が達成出来る様になって来ている。一方で、研究スピードの向上を求められるために液体クロマトグラフのトレーニングの時間が減少し、熟練者の知識の継承が難しくなっている。この様な状況の変化を背景に、個人の機器分析の知識・経験の差をシステムやソフトウェアが補完し、データの信頼性を確保する、分析支援機能の重要性が増して来ている。本稿では、これらの新たな分析支援機能とこれらを活用する新しいLC分析スタイルの提案について紹介する。

シリーズ「試料分析の定石とコツ」
  • 中村 洋
    原稿種別: シリーズ「試料分析の定石とコツ」
    2020 年 1 巻 p. 69
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス
  • 中村 洋
    原稿種別: シリーズ「試料分析の定石とコツ」
    2020 年 1 巻 p. 70-76
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2022/03/24
    ジャーナル オープンアクセス

    実試料を分析する上で肝要な事は、分析種(analyte)と試料マトリックス(matrix)を知る事に尽きる。事前に知っておく可き基礎的な情報としては、分析種については試料中の推定存在濃度、分析種の化学的・生物学的性状(特に安定性)、又、マトリックスについては妨害成分の種類と濃度である。分析種が化学的に特定出来る場合には、試料中の濃度を勘案して検出法を或る程度絞る事が出来、適した前処理法と分離法の設計が可能になる。総論では、試料を LCや LC/MSで分析する場合の化学操作ごとに主な定石とコツを紹介するが、本稿では前処理について解説する。

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