2021 年 2 巻 p. 45-52
UHPLCの技術導入以降、流速を引き上げカラムの圧力損失を増大させて、高速化を図って来た。一方、カラムを伸ばし、高分離化する事も可能である。この場合も圧力損失は増大する傾向にある。こう見ると、分析システムの高圧化は、分離法の高速化にも高分離化にも寄与しそうである。本稿では、圧力損失と高速性、高分離性の3者の性能関係を一目で見る事が出来る3次元グラフについて述べた。それを等高線図で表す事により、最適流速により得られる分離性能から成る直線、及び上限圧力の境界線によって囲まれる三角領域が俯瞰出来た。その三角領域内の性能を獲得する流速とカラム長さの各設定条件は、どれも有用であると考えられた。結果として圧力を増加する事に成る各設定条件が、高速化又は高分離化の性能改良に対しどの程度寄与するのかについて、等高線図が示す丘陵地形の勾配に基づく圧力印加係数を規定する事により、圧力増加分の有効性を定量的に示す事が出来た。