ポリペプチドの固体への吸着は、溶液中の有機溶媒によって惹起される高次構造変化に伴うものであり、或る特定の有機溶媒含量(臨界値)を境に急激且つ可逆的に変化(相転移)する事を世界で初めて見出した。又、その吸着能の状態を、 fn値として式で表現する事にも成功した。同時に、逆相 LCにおけるポリペプチドの溶出は、カラム充塡剤に対する吸脱離を繰り返しながら臨界値(fn= 1)を示す溶離液によって溶出されている事を示した。一方、この吸着能の相転移現象を利用したペプチド吸着制御 LC(peptide adsorption-controlledLC,PAC-LC)を開発した。 PAC-LCは、ペプチド及びタンパク質の容器等への吸着回避を目的とした高有機溶媒含量溶液を使用する事で定量的な操作を可能にすると同時に、この様な試料を標準 LCに導入した場合の問題点である非保持ピークの発生を回避する事が可能と成り、測定精度の高い定量が可能と成った。又、 PAC-LCに対する試料導入量は理論上無制限であり、高い測定精度を維持したまま試料導入量増加による高感度化を達成可能である事も明らかにした。更に、臨界値の異なる複数のペプチド定量における PACLCの優位性も明らかにした。