蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
THE PLACIDA GROUP OF THE GENUS ALETIA HUBNER, WITH DESCRIPTIONS OF TWO NEW SPECIES : LEPIDOPTERA:NOCTUIDAE,HADENINAE
SHIGERO SUGI
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1977 年 28 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

Aletia Placida (Butler)クロジタキョトウに近縁の2新種を記載し,それら3種を含む小群をplacida groupとしてまとめた.Aletia subplacida sp. nov.台湾.本種は台湾におけるplacidaの代置種とみなし得る.Aletia bani sp. nov.ミカワキヨトウ.この日本最大の開張を示す大型のAletiaは,1968年に初めて愛知県奥三河の山地で発見され,同地方で3カ所の産地が知られている(田中・羽渕・山田,1973).続いて1971年には静岡県大井川中流部にも分布することが発見された(山元,1975). これらの地方では比較的多産する.私はさらに兵庫県および福岡県下で得られた各1標本を見ているので,本種の既知産地を和文で再記すれば次のとおりである.静岡県中川根町蕎麦粒山山犬段,1400m(山元照人採集).愛知県津具村茶臼山,1415m(Y. Ichimi採集);設楽町段戸裏谷,900m(田中蕃採集);稲武町井山,800m(田中蕃採集);兵庫県養父郡間宮町福定(遊磨正秀採集);福岡県英彦山(黒子浩採集).本種の和名は,田中ほか(前出)によってミカワキヨトウと命名されているので,それを採用することにしたい.日本産のキヨトウ群のうちで,雄交尾器のcucullus内面にcoronaを有する種をAletia として区分することは,すでに井上・杉(1958:468-474)によって示されており,本報で扱った3種についてはそのような見解にもとずいて属名Aletiaを使用したことを付記する.

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© 1977 日本鱗翅学会
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