フィリピンのミンダナオ島から得られた標本を調べ,次の7新種を記載した.いずれもシャクガ科エダシャク亜科Boarmiini族の仲間であり,現時点で同島からのみ発見されている.Chorodna mindanensis Satoマレーからスンダランドにかけて広く分布するC.complicataria(Walker)に近縁だが,やや小型で,後翅の外縁がより強く屈曲し,前翅の横脈紋がやや大きい.Ectropis pectinata Sato♂触角が両櫛歯状である点で,同属の他種と区別される.♂交尾器の形態は,ルソンから記載されたE.schintlmeisteri Satoに近縁であることを示している.Ectropis cernyi Sato E.bhurmitra(Walker)とE.consentanea Satoに似るが,♂触角の繊毛はより長い.また♂後脚脛節のhair-pencilを欠く点は,consentaneaと同様である.Aids perplexa Sato,A.kitangladensis Sato,A.mindanalis Sato,A.antinda Sato以上4種は,いずれもインドから記載されたA.variegata(Moore)に近縁で,交尾器の形態が互いによく似ており区別が難しい.むしろ外観の差異が同定に役立つ.今後インド・オーストラリア地域に分布するvariegataグループに属する多くの種の分類学的再検討が必要である.