蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
フシダニのゴールを攻撃する2種のシャクガ
山崎 一夫杉浦 真治
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 53 巻 3 号 p. 150-152

詳細
抄録

大阪府東大阪市生駒山において,2種のシャクガ科,チャバネフユエダシャク,Erannis golda Djakonovとニトベエダシャク,Wilemania nitobei(Nitobe)の幼虫が,イヌシデメフクレフシ(イヌシデ芽のフシダニ,Eriophyes sp.によるゴール)を食べているのが観察された.シャクガの幼虫は外部からゴールをひどくかじり,イヌシデの若葉よりもゴールを好んだ.このえい食の習性の適応的意義として,ゴールのほうが若葉よりも栄養的に優れている可能性があることや,ゴールのほうが1枚1枚の若葉間を移動するより餌資源が集中していて摂食効率がよいであろうと考察した.なお,ゴールのりん片の大部分が食害され,その際に,りん片間にすむフシダニもシャクガ幼虫に食べられるため,フシダニコロニーへの影響は大きいと考えられた.

著者関連情報
© 2002 日本鱗翅学会
前の記事 次の記事
feedback
Top