抄録
大阪府和泉葛城山のブナの立ち枯れなどから発生したヒロズコガを調べたところ,これまで日本から記録のなかったTriaxomera属(ミヤマヒロズコガ属:新称)に含まれる種であることがわかった.Triaxomera属はロシアから記載され,現在までにヨーロッパなどの落葉樹林に生息する6種が知られるが,本種はそのいずれにも該当せず,Triaxomera属の新種であると判断した.そこで,本種をTriaxomera puncticulata(シラホシミヤマヒロズコガ)と命名し,成虫の形態を記載した.Triaxomera属は,脚の各ふ節に3本の距を持つことや,雄交尾器のvalvaは指状突起を持たないことなどで近縁のNemapogon属などと区別される.本種の外見は本属の模式種であるT.fulvimitrellaに似るが,前翅の白斑が小さいこと,雄交尾器のvalvaの背方内壁に鋸歯を持たないこと,などの点で識別できる.