蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
フィリピン産Allotinus属の1新種
大久保 潔
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 58 巻 2 号 p. 162-164

詳細
抄録

フィリピン,ミンダナオ島アポ山より得られたAllotinus属の1新種,Allotinus albicansを記載した.本種は第8腹節腹板の毛束,前翅表面第4脈基部の膨隆,後翅肩脈の欠如,交尾器valva先端の形状などより,Paragerydus亜属に属す.前翅表面が広く白色である点でparapusやAllotinus亜属のotsukaiに似ているが,翅頂部が丸くならないことから容易に区別できる.交尾器,裏面の斑紋配列から本種は,luzonensis, albatus, macassarensisにきわめて近縁と考えらるが,交尾器valva先端はより長く,湾曲も強い.外中央斑の配列は上記3種と同様であるが,以下の点で区別可能である.1)翅表はluzonensis, macassarensisが前後翅ともに一様に褐色,albatusは前後翅に白斑を有するのに対して,前翅は白く,後翅は一様に褐色である.2)裏面地色はより白く,褐色斑の分布も疎である.3)外中央斑は,上記3種では前翅2,3室,後翅5,6室のものが大きくなるのに対し,本種ではほぼ同一人である.4)前翅2,3室の外中央斑は縦長で連結し外縁にほぼ平行である.

著者関連情報
© 2007 日本鱗翅学会
前の記事 次の記事
feedback
Top