蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
58 巻, 2 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年 58 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App1-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App2-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App3-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App4-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • Sophie NAVEZ, 石井 実
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 127-144
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    2002年の4-10月に二上山と葛城山(大和葛城山)の山頂,亜山頂,斜面において15種類の山頂占有性チョウ類の雄が示す各行動の頻度を調査することにより,山頂占有性あるいは山頂占有者についてShields(1967)に基づく伝統的なものを補う新たな区分を提示した.各行動の割合は,葛城山に22箇所,二上山に26箇所,それぞれ標高の異なる区域に設定した半径5mの円形の定点において5分間当たりに観察された静止,飛翔,種内・種間闘争,採餌などの雄の行動パターンの比率に基づいて評価した.この研究では, A1, A2, B, C1, C2という5つのタイプの山頂占有性行動を区別した.タイプA1の種は,狭義の,あるいは「古典的な」山頂占有性チョウ類で山頂を配偶場所としてのみ利用していた.タイプA1には,キアゲハ,ギフチョウ,ツマグロヒョウモン,ヒメアカタテハ,アカタテハ,ヒオドシチョウの越冬成虫,ゴマダラチョウ,ウラナミシジミが含まれた.ナミアゲハ,カラスアゲハ,モンキアゲハのようなタイプA2の種は,タイプA1と同様の目的で山頂を利用するが,静止することがなく,斜面を通過する蝶道を形成していた.イチモンジセセリなどのタイプBの種は,山頂を吸蜜,配偶,移動中の着陸場所の3つの目的で利用していた.テングチョウやヒオドシチョウの夏の成虫などのタイプC1の種では,山頂はテングチョウの生殖休眠を含む夏眠期における,低地の夏季の暑さを逃れるための一時的な生活場所として使われていた.最後に,モンキチョウやべニシジミのようなタイプC2の種では,夏眠期における一時的な生活場所として使われるだけでなく,吸蜜や配偶,モンキチョウにおける寄主植物周辺での繁殖など,他の目的も関係していた.
  • 八田 耕吉, 広木 詔三
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 145-156
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    As a part of the process of conserving the Satoyama ecosystem (mountain village ecosystem), the population of Luehdorfia japonica (Leech) inhabiting Kaisho-no-Mori Forest and Aichi Youth Park has been monitored from 2001 to 2005. Kaisho-no-Mori Forest is located near the site of the 2005 World Exposition, Aichi, Japan (EXPO2005) and Aichi Youth Park was used as a part for the site for EXPO2005. Monitoring consisted of investigation of the numbers of eggs, larvae and adults. Eggs and larvae on the host plant, Asarum kooyanum Makino var. bachypodion (F. Maek.) Kitam., were directly counted, and the number of adults was estimated both by observation and the mark-release-recapture method (MRR method). The monitoring results from 2001 to 2004 made by the Japan Association for the 2005 World Exposition (JAEXPO2005) were compared with our results. According to the latter report, the number of Luehdorfia japonica decreased in year only, 2000, and gradually increased towards 2004 in Kaisho-no-Mori Forest. The monitoring result presented by JAEXPO2005 also showed the gradual increase of this butterfly in Aichi Youth Park.
  • Axel KALLIES, 有田 豊, 王 敏
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    中国南部からヒロハマキモドキガ科Phycodinae亜科のNigilgia属のヒロハマキモドキを新種記載した.このPhycodinae亜科のNigilgia属の種は,中国から初めての記録である. Nigilgia violacea Kallies et Arita, sp. nov. (Figs 1-4) 中国広州南嶺でオトコエシに非常に良く似たPatrinia属の花に日中飛来していた.本種は,前翅が紫色に輝くことと鉛色に輝く斑紋などから,この属の他種と容易に区別される.中国広州南嶺でオトコエシに非常に良く似たPatrinia属の花に日中飛来していたことが観察されている.
  • 大久保 潔
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 162-164
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    フィリピン,ミンダナオ島アポ山より得られたAllotinus属の1新種,Allotinus albicansを記載した.本種は第8腹節腹板の毛束,前翅表面第4脈基部の膨隆,後翅肩脈の欠如,交尾器valva先端の形状などより,Paragerydus亜属に属す.前翅表面が広く白色である点でparapusやAllotinus亜属のotsukaiに似ているが,翅頂部が丸くならないことから容易に区別できる.交尾器,裏面の斑紋配列から本種は,luzonensis, albatus, macassarensisにきわめて近縁と考えらるが,交尾器valva先端はより長く,湾曲も強い.外中央斑の配列は上記3種と同様であるが,以下の点で区別可能である.1)翅表はluzonensis, macassarensisが前後翅ともに一様に褐色,albatusは前後翅に白斑を有するのに対して,前翅は白く,後翅は一様に褐色である.2)裏面地色はより白く,褐色斑の分布も疎である.3)外中央斑は,上記3種では前翅2,3室,後翅5,6室のものが大きくなるのに対し,本種ではほぼ同一人である.4)前翅2,3室の外中央斑は縦長で連結し外縁にほぼ平行である.
  • 保坂 哲朗, 有田 豊, Laurence G. KIRTON
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    スカシバガは東南アジアのフタバガキ科樹本にとって重要な種子食昆虫の1つと考えられているが,その食害の実態は殆ど報告されていない.著者らは,優良材で知られるNeobalanocarpus heimii(フタバガキ科)の種子に対するSynanthedon nautica(スカシバガ科)の食害の実態を,半島マレーシアネグリセンビラン州のPasoh森林保護区において調査した.落下後間もない様々な発育段階の種子計283個から,10個体のS. nauticaが得られた.S. nauticaはいづれも発芽能力のある成熟種子(種子重3.0g以上)より得られ,N. heimiiの成熟種子を加害する種であることが分かった.また,種子を拾ってからS. nauticaの成虫が羽化するまでは13-42日(平均31.3日)とばらつきがあったが,これと種子の重さとの間には相関関係は見出されなかった.東南アジアにおけるフタバガキ科の一斉結実現象に対するS. nauticaの適応について考察した.
  • 三橋 渡, 村上 理都子
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 172-176
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫囲食膜の電子顕微鏡レベルでの観察報告がほとんどないために昆虫ウイルス等病原微生物の回虫への感染成立および回虫品種間でのカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)への感受性の差異における囲食膜の重要度は不明である.このため,カイコ交雑品種(C146×N137)3齢幼虫の囲食膜を走査型電子顕微鏡で観察し,BmNP等の囲食膜通過の難易を検討した.皮膜細胞層側表面はタンパク層がよく発達してキチン編み目状構造の孔をほぼ埋めているために孔が小さく,この発達が悪いために孔が大きくてウイルス通過が容易とされる一部ヤガ科等昆虫のものとは明確に異なっており,BmNPに対してかなりの程度の防御能を有するものと考えられた.脱皮後の日齢が0日の幼虫の囲食膜では3日のものに比較して皮膜細胞層側の表面のタンパク層が薄いと思われたが,これが脱皮後初期のカイコ幼虫の一般的傾向である可能性がある.また,キチン編み目状構造の孔の形,大きさはコガネムシの一種であるドウガネブイブイと比較して変異に富んでいた.
  • 橋本 恵, 矢田 脩
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    コモンマダラ属Tirumalaの性標内にあるフェロモン運搬粒子PTPsは,雌に交尾相手を正確に認識させるものであり,フェロモンの化学成分とともにこのPTPsの形態にも種特異性が認められる可能性がある.そこで,走査型電子顕微鏡を用いて,Tirumala属7種のPTPsの形態を観察し比較した.その結果,T. gautama, choaspes, ishmoides, septentrionis, hamataのフェロモン運搬粒子(PTPs)は,形状に若干の違いはあるものの,どれもおおむね丸い形状をしている.一方,T. limnicaeとアフリカに分布するT. petiveranaのPTPsは,特有の多面体をしており,粒子の大きさは若干小さい.T. limniaceの特異なPTPsの形態は,フェロモンの種特異性などTirumala属の他の種との明確な性的隔離を反映している可能性が高いと考えられる.また,Tirumala属の中で熱帯アジア産T. limniaceとアフリカ産T. petiveranaのPTPsの形態が相互に類似することは,かつて両者が同種に扱われていたように両者は互いに極めて近縁の種であることを支持する証拠となる.
  • 田下 昌志, 中村 寛志, 福本 匡志, 丸山 潔, 降旗 剛寛
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 183-198
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    筆者らは、2003年6月から2004年5月にかけて信濃川水系犀川流域の標高2,600mから600mにかけての7箇所(奥又白地区と明神地区は田下ら(2006)参照)において,ラインセンサス法によりチョウの種と個体数を数えるモニタリング調査を実施し,1992年7月から1994年9月の調査結果(田下・市村,1997)と比較した.その結果,全調査区の合計で69種, 5,687.53個体が確認された.1992-1994調査と2003-2004調査では,種数の変化はわずかであったが,個体数は,蝶ケ岳A, B,奥又白,明神で半減した.松本A, B, Cでは,同程度であった.H'や1-λの値は,個体数の変動の影響を受けて変動したが,ERやHIは,高山帯の蝶ケ岳から亜高山帯の明神で変化は認められなかった.奥又白と明神は,森林化により,ERやHIの値は原始段階を示したが,種多様性は減少する傾向が見られた.平地の松本Aは,帰化植物による森林化が進み,ERやHIの値は原始性の要素が低下し種多様性も減少した.また,松本B, Cは,草地の維持管理が行われ、稀少な種が保全されたことから,ERやHIの値の原始性の要素が向上した.これらから,平地の草原に多くの貴重な種が生息し,草原を維持することの大切さが認識された.特に高山帯や亜高山帯で調査年により個体数の変動が大きく,1-λなどの種多様性の指標に影響がでることから,チョウ群集を評価する際には,個体数の影響を受けにくくするために種に環境の重み付けをしたERやHIと合わせて評価するのが妥当と考えられた.
  • 大和田 守, 岸田 泰則, Rainer SEEGERS
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 199-201
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    2006年8月26日,長野県奈川村入山で採集をしようとしていたところ,午後5時頃から日没前に小型で白色の蛾がたくさん飛んでいた.蛾は樹冠部すれすれを素早く不規則に飛び,ときに森の内部にも入ってきていた.このうち5頭を採集することができたが,すべてウススジギンガの雄であった.その場所で灯火採集も行い,ギンガ類をできるだけ採集し固定したところ,ハルタギンガ,クロハナギンガ,アイノクロハナギンガ,ヒメギンガ,ウススジギンガ,エゾクロギンガの6種が混ざっていた.昼間飛翔していた蛾は,明らかに何かを探しているように見えた.採集できた5頭ともウススジギンガの雄であったことから,飛んでいたギンガがすべてウススジギンガの雄であった可能性が高いし,この飛翔が交尾のためのウススジギンガ雄の通常の採雌行動と推定できた.
  • 吉松 慎一
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 202-204
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    Mythimna albipuncta ([Denis & Schiffermuller])はヨーロッパ,アフリカ北部,トルコ,トルクメニスタンにかけて分布するキヨトウの仲間である.移動性のある蛾で,スウェーデンやフィンランドなどの北ヨーロッパへは夏から秋にかけて,中央ヨーロッパなどの南の個体群が飛来・侵入してくる.これまで東アジアでは本種の記録は全くなかったが,今回,北朝鮮の白頭(ペクト)山で採集された1雄標本に基づき初めて記録される.キヨトウの仲間であることから本種幼虫もイネ科植物を幅広く食べることが分かっているので,食草的には東アジアに分布していても特に問題はない.東アジアにおいては,個体数が少ないながら生息しているのかもしれない.
  • 佐藤 力夫
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 205-214
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    Ectropis属は広汎な分布域を持つ大属で,世界のシャクガのカタログ(Parsons et al., 1999)には,およそ100棟が登載されている.しかし複式種E. crepuscularia ([Denis & Schiffermuller])フトフタオビエダシャクとその近縁種とは明らかに異質な種もかなり含まれており,分類学的な再検討が必要である.私は,これまでに日本,台湾,フィリピンのEctropisについて報告してきたが,本性では,インドネシアの材料について再検討した.その結果次の8種を認め,うち2種を新種として記載した. E. bhurmitra (Walker).広く分布. E. floresensis Sato(新種). Flores Is.に固有と思われる. E. longiscapia Prout. Borneo以外からは得られていない. E. suscepteria (Walker). Javaから1♀で記載された種.Sumatra, P. Malaysia, Thailand, Vietnamから初めて記録した.♂とその交尾器を初めて図示. E. pais Prout. Sumatra, P. Malaysia, Mindanaoに分布. E. ischandelpha Prout. 私(Sato, 1992)がpaisのシノニムにしたが,ホロタイプ(♂)の交尾器を初めて確認し間違いであることが分かった. E. herbuloti Sato(新種). Sumatra以外からは得られていない.2006年1月に97歳で亡くなられたシャクガの研究者フランスのDr Claude Herbulotに献名した. E. brooksi Holloway. ♀交尾器を初めて固示した.
  • 城本 啓子, 櫻谷 保之
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 215-237
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    1990年から2006年まで各地で野外調査を行った結果,19科44種の植物が8種のヤママユガ科ガ類(シンジュサン,ヤママユ,ヒメヤママユ,クスサン,ウスタビガ,オナガミズアオ,オオミズアオ,エゾヨツメ)の餌植物として確認された.新たか餌植物として,カバノキ科のイヌシデでヤママユ,ヒメヤママユ,クスサン,ウスタビガ,エゾヨツメの幼虫が各地で確認され,ウバメガシではウスタビガとヒメヤママユの幼虫が確認された.また,ウスタビガではヤナギ科2種と植栽種であるハナミズキ,ヒメヤママユではネジキとオオバクロモジ,クロガネモチ,クマノミズキも餌植物として確認された.最も多くのヤママユガ科分類が利用していた餌植物はイヌシデとコナラで5種(ヤママユ,ヒメヤママユ,クスサン,ウスタビガ,エゾヨツメ),統いてクリで4種(ヤママユ,ヒメヤママユ,クスサン,ウスタビガ)の利用があった.また,日本におけるヤママユガ科ガ類の今回および既知食樹記録とヤママユガ科ガ類の系統の関係についても考察を行った.餌植物種によるクラスター解析では,地理的分布の狭いヤママユガ科ガ類3種(ヨナグニサン,ハグルマヤママユ,クロウスタビガ)の距離は短くなった.すなわち分布の狭い種は餌植種が少なくなっており,分有の広いシンジュサンは餌植物の科によるクラスター解析では距離が一番長くなった.ヤママユガ科ガ類間の餌植物種の類似度(Ochiai指数:OI)は,同じ属であるヒメヤママユとクスサンの間ではやや高かったが(07=0.425),他の種との類似度はあまり高くないことが示された.また,シンジュサンの餌植物種(24種)の約38% (9種)が羽状複葉を利用しているなど,植物の葉の形態によって選択している種もあると考えられた.ヤママユガ科ガ類の餌植物種は生息環境の植生や,クスサンのような集団発生する種においては餌植物の枯渇により周囲の植物への移動などにより多様化していったと考えられる.ウスタビガやオオミズアオの雌成虫がライトに誘引された際に建物の壁などへの産卵する現象が見られた.このような誤産卵やイヌシデのような他の鱗翅目幼虫があまり利用していない"空きギルド"を利用することなどにより,ヤママユガ科ガ類の餌植物種数はヤママユガ科種間同士の重複をある程度避けながら広がっていったと考えられる.
  • 中村 正直
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    本文では日本産ヒトリガ科のうちArctiinaeに属する11属の蛹を記載し,その形態に基づき分類した.その結果本亜科はArctiiniとSpilosominiの2族に分割された.ArctiinaeのうちLemyraとSpilarctiaとの蛹は全く区別出来なかったので,本文では仮にこれらを合一させることにした.しかし検したもののなかでChionarctia Kodaのみは尾剌毛において明らかに異なっていたので別属として扱ったが,今後なお多くの種を検した上で再検討する必要が認められる.
  • 米山 沙希, 星川 和夫
    原稿種別: 本文
    2007 年 58 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
    山陰地方のスギタニルリシジミはトチノキのみに依存しているが,本種の生活史を解析する目的で野外調査と室内飼育を行った.成虫の発生消長から野外での産卵時期は4月下旬と推定され,樹上から落下する成熟幼虫のリタートラップでの採集量の変化から,幼虫がトチノキを離れるのは5月下旬と計測された.採集された成熟幼虫のほとんどは直後に蛹化した.これらから調査地(小鹿渓;三朝;鳥取県中部)での本種の卵・幼虫期間は約36日と推定された.異なる温度条件(18, 21, 24, 27℃;いずれも16L8D)でトチノキ花を与えて本種幼虫を飼育したところ,その発育零点は-0.9℃と極端に低い値となり,そのため発育有効温量は412日度と大きな値となった.この発育零点は昆虫類全体の中でも極めて低い値であるが,室内飼育実験で得られた温度発育速度回帰から野外調査地における幼虫期間を予測すると約26日となり(当該期間の平均気温は約15℃),11日間の卵期間を考慮すれば,野外調査に基づく上記推定期間とよく一致した.同条件でクズを用いて飼育したルリシジミ幼虫の発育零点は7.8℃だったので,スギタニルリシジミは特異的に低温域における速い幼虫発育を発達させたことが示唆される.これはまだ低温の春のトチノキの限られた開花期間中に,ほとんど全ての同化代謝を行わなければならない本種における著しい生活史適応のひとつと考えられる.
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App5-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App6-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 58 巻 2 号 p. App7-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年 58 巻 2 号 p. Cover2-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年 58 巻 2 号 p. Cover3-
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
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