蝶と蛾
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テキサス州南部におけるカレッタシロスジサン Eupackaridia calleta (ヤママユガ科) の生活史および化学生態
Joseph H. Louwagie IIIRichard S. Peigler
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2016 年 67 巻 2 号 p. 58-66

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抄録

テキサス州南部産のカレッタシロスジサン Eupackardia calleta (Westwood) を野外及び室内で観察した.ゴマノハグサ科レウコフィルム属の一種 Leucophyllum langmaniae を野外における新たな寄主植物として記録することができた.メス成虫は上記のレウコフィルム属の一種の8 枚の葉に17個の卵を産卵した.蛹の繭は脊椎動物によって捕食されることが示された.また,3 種の捕食寄生者が見つかった.ナガコバチ科 Anastatus 属は本種の卵から,ヤドリバエ科の Lespesia sp. (nr. L. texana)とアシブトコバチ科の Conura maria は本種の繭から出てくるのが確認された.後 2 者は初記録である.また3 齢幼虫が Polistes exclamansアシナガバチによって捕食されるのが観察された.通常昼行性である本種のオスの走光性も確認され,メスの多数回交尾も確認された.この事実は初記録である.テキサス州内の3 郡から新たに本種が確認された.1 齢,2 齢,終齢幼虫および成虫について生化学分析を行い以下の化合物を検出した.

3,4-dihydroxyphenylalanine,

dopamine,

norepinephrine,

hydroquinone,

2- (dimethylamino) ethylacetate,

trehalose,

3,5-dimethylphenol

これらのうちのいくつかの化合物はおそらく捕食者から身を守るための防御に使用されていると考えられた.本種幼虫に対する5 種のアリによる捕食実験を室内と野外において行って,捕食に対する化学防御の有無を確認した.その結果幼虫はアリに対して化学防御をしており,これらの化合物が成虫からも見出されていることから,推定して,カレッタシロスジサンはアオジャコウアゲハ属 Battus にベーツ擬態をしているのではなく,ミュラー擬態している可能性が示唆された.

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© 2016 日本鱗翅学会
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