蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
アカタテハの薄暮〜翌朝交尾パターンの観察例
福田 晴夫井上 寿昭
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2021 年 72 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

世界のチョウの求愛行動と交尾記録の文献を集約したCannon(2020)に,Vanessa属のチョウの交尾例はないとされているほど少ないが,日本にはアカタテハVanessa indicaについて4例の報文があり,関東地方(2例)と沖縄県(2例)で午後,とくに夕方交尾し,そのままひと夜を過ごして,翌朝離れる例が知られている.本報では南九州のいちき串木野市の人家庭に設置した大型野外飼育ケージ内で,第1世代成虫4ペアの交尾が,すべて夕方に成立し翌朝に離れた例を報告した.これらのことから,本種は地域,世代を問わず,午後とくに夕方(薄暮時)交尾し,翌朝離れるという,タテハチョウ亜科では特異なパターンであることを示唆する.

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© 2021 日本鱗翅学会
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