2004 年 2004 巻 12 号 p. 143-150
世界の物流は一つの統合されたパラダイムを以って全体最適に向かうのだろうか、それとも文化の異なる地域には異なる物流パラダイムが存在し続けるのだろうか。この命題を解く鍵として日欧の物流経営比較を企図し、日系の企業・機関38箇所、非日系の企業・機関15箇所との面談により広範囲な議論を行った。その結果、欧州の戦略偏重に対して、日本の現場偏重が、また、欧州の顧客サービス軽視に対して、日本の顧客サービス過多が、一般的な傾向として浮かび上がってきた。サプライチェーン・マネジメントのグローバル化の中で、この差異を直視して日本型物流の長所を失うことなく欧州型物流の有機的な結合を企図することが、共通の物流パラダイム構築に貢献する道となろう。