抄録
SCMには企業内・企業間のビジネス・プロセスを再編成し、ムダな経営資源の削減や、リードタイムの短縮といった基本的な役割が期待されている。一方、実際のSCMの姿は、経営環境の変化や個別の企業戦略等によって固有な形態を取っている。企業は持続的競争優位性を確保するために、固有の戦略的な事業システムを構築し、これを実現するためにSCMも固有の形態を取っていると考えられる。本研究では文献研究ならびに事例研究により、企業の戦略的な目的、事業システムとSCMの形態との間の関係について分析を試みた。その結果、事業システムの特性によってオペレーション、分業関係、業務プロセスが変わり、ユニークなSCMプロセスを形成することが確認された。