マクロ・カウンセリング研究
Online ISSN : 2434-3226
Print ISSN : 1347-3638
多言語環境で育つ子どもの言語と発達のアセスメントに関する一考察
―日本におけるCLD児の支援に向けて―
鈴木 ゆみ栗原 友佳榊原 佐和子
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2021 年 14 巻 p. 46-60

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抄録
本研究の目的は、多言語環境で育つ子どもとしてのCLD児(Culturally and Linguistically Diverse Children/Students, 以下CLD児とする)の発達に関する基礎的な知見を概観し問題の整理をすることであった。言語について、言語学や発達心理学、外国人児童生徒教育の文献から示されたのは、CLD児の第二言語の獲得と教科学習言語の習得に関連する長期間に及ぶ言語発達プロセスと言語能力の内部構造であった。また、CLD児の言語の遅れや学習不振を、知的発達の遅れや障害と見ることに対する慎重な姿勢が示された。次にCLD児の学習不振や問題行動のアセスメントについて先行研究を概観した結果、①複数言語による知的発達のアセスメント、②言語発達のアセスメント、③発達障害のアセスメント、④CLD児の行動観察、⑤保護者への面談、が必要であることが示唆された。以上のことから、CLD児の特性と支援のニーズに応じ、CLD児の状態を多面的かつ正確にアセスメントを行うことが有用あることが示唆された。最後に今後の課題として、CLD児に関する言語と発達の知識の普及、学校現場で行う広い意味でのアセスメント、支援者の認知やステレオタイプ等の態度について考察した。
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© 2021 マクロ・カウンセリング研究会
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