抄録
現在、障害学生支援において、有効な高大接続の方法が模索されている。高校と大学にはさまざまな差異があり、その差異によって、障害のある大学生には高校とは異なる困難が生じる。高校と大学の差異による困難が明確になることは今後の円滑な高大接続を検討していく上で有用であろう。大学生の生活における「授業」の比重は大きい。そこで、本論文の目的は、授業に関して、障害学生支援の視点から高校と大学の差異を整理し、その差異により授業の中でどのような困難が生じうるのかを提示することを目的とする。時間割、教室、担任・ホームルーム、教科書・板書に焦点を当て高校と大学の差異を記述した。それらに基づき、障害学生が大学においてスムーズに修学していくために必要であるシラバスの記載、大学の基礎的環境整備の充実・事前的改善措醤の実施、セルフ・アドボカシー・スキルに関して論じた。最後に有効な高大連携に向けての提言を行った。