マクロ・カウンセリング研究
Online ISSN : 2434-3226
Print ISSN : 1347-3638
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巻頭言
特集
原著論文
  • ―論⽂タイトルを対象としたテキストマイニングを⽤いた頻出語分析―
    阿部 真吾, 剱持 裕紀, ⽯⽥ 航
    2025 年18 巻 p. 55-62
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/21
    ジャーナル フリー
    本研究の⽬的は,⽇本における「合理的配慮」に関する研究動向を明らかにすることである。対象はCiNii Research に掲載されたタイトルに「合理的配慮」が含まれる論⽂とし,分析にはAIテキストマイニングを使⽤し,単語の出現⽐率の⽐較を統計的に⾏った。論⽂のタイトルに「合理的配慮」を含むものは2002 年から⾒られた。2016 年にピークとなり,2021年にかけて減少し,2024年にかけて微増した。まず,2016 年に論⽂数がピークを迎えた理由として障害者差別解消法の制定,施⾏が関係していると考えられた。次に,2016 年から2021 年にかけて論⽂数が減少した理由として,法整備から実践報告へと主題が変化したことに加え,従来の合理的配慮の内容の⼀部が⼀般化したことが関係していると考えられた。2024 年にかけて論⽂数が増加した理由として,障害者差別解消法の改正により「合理的配慮」が再び注⽬を集めたためと考えられた。「合理的配慮」をタイトルに含む論⽂数は,法律の動きと連動して推移し,その後,実践報告へ移⾏していくと考えられた。
  • 間中 伴⼦, いとう たけひこ
    2025 年18 巻 p. 63-80
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/21
    ジャーナル フリー
    ⽬的:⽇本におけるHPVワクチン(⼦宮頸がんワクチン)の実施に賛否両論がある。本研究の⽬的は,YouTube というSNS においてHPV ワクチンがどのように受容されているかを明らかにすることである。⽅法:調査1では,YouTube 動画の内容を2011 年から2021年まで視聴し,その内容を賛成派,反対派,中⽴派にカテゴライズしてそれぞれの件数を⽐較した。調査2では,2013年,2015年,2023年のYouTube動画の内容に対するコメントをテキストマイニング分析した。結果:調査1では,2011 年から2017 年までは,反対派が多かったが,2018年から2021年では賛成派が多くなり傾向が逆転した(χ2=50.23,p< .001)。調査2では,2015年は,⼈⽣が変わる,未来が奪われる等の否定的コメントが多かったが,2023 年では,無料で受けられる,など政府キャンペーンの影響がみられた。考察:メディアのワクチン副反応による健康被害キャンペーンと政府の無料化を含むワクチン積極的勧奨政策がYouTube動画内容と動画コメントに⼤きな影響を与えていた。
  • 「刃物を扱うような慎重さ」で対⼈関係を築いていると述べたケース
    剱持 裕紀
    2025 年18 巻 p. 81-91
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/21
    ジャーナル フリー
    本稿は, 計3回の⾯接の後に中断となった学⽣相談事例を通じて,初期治療における介⼊とアセスメントについて考察するものである。クライエントは,対⼈関係における困難を振り返りながら,内的な体験についての洞察を深めていた。⼀⽅,カウンセラーは現実的な問題に焦点を当てることから⾯接を開始し,その後,情緒的な体験に関わる介⼊を試みていた。しかし,カウンセラーは⾯接が順調に進んでいると認識していたにもかかわらず,⾯接は最終的に中断された。クライエントにとって,カウンセラーの期待に沿って内省を進めることは,⺟⼦関係において演じてきた役割そのものだった可能性がある。また,⼗分に信頼関係が構築されていない段階で情緒的な反応を⽰すことは,侵⼊的な体験として感じられたと考えられる。このような侵⼊的な状況を回避しようとする試みが,カウンセラーには認識されなかった可能性がある。以上を踏まえて,⼼理⾯接における内容理解のみならず,カウンセラーとクライエント間の相互的なズレや内省⽔準への応答的調整を含む治療関係上の配慮を⾏うことの臨床的意義について論じた。
研究ノート
  • ⽀援者との連絡帳にみられる希望と願望の表現の分析
    辻 あゆみ, いとう たけひこ
    2025 年18 巻 p. 92-118
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/21
    ジャーナル フリー
    【⽬的】本研究の⽬的は,障害児,とりわけ⾃閉スペクトラム症児の⺟親の「ねがい」の特徴を明らかにすることであった。【⽅法】過去に⺟⼦⼊園を利⽤した9名の⺟親が記した連絡帳を,⼦どもの障害の種類によりASD群とnon-ASD群に分け,量的分析と質的内容分析により両群の希望表現と願望表現の特徴を⽐較した。【結果】両群ともに「⺟親の希望」は多く,「⺟親の願望」は少なかった。特に,ASD群ではその差が顕著であった。【考察】障害児の⺟親に対しては,暖かい親⼦関係を基盤としながら,⽬先の困難を乗り越えられるよう共感的に⽀援していくことが求められる。とりわけ⾃閉スペクトラム症児の⺟親には,将来にむけての希望をもてるように⻑期的な展望を共有し⽀援することが求められる。
  • 中村 朋彦, 浅沼 ⾹南, 松本 美鈴
    2025 年18 巻 p. 119-125
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/06/21
    ジャーナル フリー
    「願い」や「好き」を起点に個別最適な学びをデザインする翔和学園の「彩能教育」。「⽩いトイプードルを描きたい」という願いを起点に、読み書きの苦⼿さを克服したN君。「鉄道とアイドル」に対する「好き」を起点に、9年間続いた不登校を脱出し、学びを始めたK君。⼆⼈の若者の事例を通じて、「⼈間の⽣きていく気⼒を育みあいながら、彩能の探求と冒険を通して⼈⽣と社会をワクワクさせる」という存在⽬的に向かう、翔和学園の現在地を、読者の皆さんに知っていただきたい。
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