哺乳類科学
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原著論文
GPS首輪の評価とエゾシカへの適用
伊吾田 宏正早稲田 宏一櫻木 まゆみ宇野 裕之梶 光一金子 正美赤松 里香前川 光司
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2002 年 42 巻 2 号 p. 113-121

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抄録

2000年8,9月に北海道東部の異なる3環境(開放·平坦,閉鎖·平坦および閉鎖·起伏)において2種類のGPS(Global Positioning System)首輪(Televilt社製,G01-01011およびLotek社製,GPS1000)による位置測定能力の評価を行った.環境ごとの位置測定成功率は,Televilt社製でそれぞれ97%,45%,57%,Lotek社製で100%,97%,94%であった.Televilt社製の位置測定成功率は植生の影響を受けると考えられた.得られた位置データ中3次元データを取得できた割合は,3環境でそれぞれ55%,36%,18%(Televilt社製),97%,47%,66%(Lotek社製)であり,植生や地形の影響を受けると考えられた.Televilt社製の位置精度(平均値±標準偏差)は3環境間で違いはなく,全体ではTelevilt社製で48±32m, Lotek社製は35±30m であった.1999年3月に北海道東部の白糠丘陵でエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)メス1歳獣1頭にTelevilt社製の GPS首輪を装着して1年間追跡したところ,39点の位置データが得られ,データ取得率は5%であった.

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© 2002 日本哺乳類学会
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