哺乳類科学
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42 巻 , 2 号
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原著論文
  • 伊吾田 宏正, 早稲田 宏一, 櫻木 まゆみ, 宇野 裕之, 梶 光一, 金子 正美, 赤松 里香, 前川 光司
    2002 年 42 巻 2 号 p. 113-121
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    2000年8,9月に北海道東部の異なる3環境(開放·平坦,閉鎖·平坦および閉鎖·起伏)において2種類のGPS(Global Positioning System)首輪(Televilt社製,G01-01011およびLotek社製,GPS1000)による位置測定能力の評価を行った.環境ごとの位置測定成功率は,Televilt社製でそれぞれ97%,45%,57%,Lotek社製で100%,97%,94%であった.Televilt社製の位置測定成功率は植生の影響を受けると考えられた.得られた位置データ中3次元データを取得できた割合は,3環境でそれぞれ55%,36%,18%(Televilt社製),97%,47%,66%(Lotek社製)であり,植生や地形の影響を受けると考えられた.Televilt社製の位置精度(平均値±標準偏差)は3環境間で違いはなく,全体ではTelevilt社製で48±32m, Lotek社製は35±30m であった.1999年3月に北海道東部の白糠丘陵でエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)メス1歳獣1頭にTelevilt社製の GPS首輪を装着して1年間追跡したところ,39点の位置データが得られ,データ取得率は5%であった.
  • 大井 徹, 大谷 達也, 三浦 慎悟, 辻本 恒徳, 藤原 千尋, 藤村 正樹, 赤塚 謙一
    2002 年 42 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    日本の山岳地帯に生息する大型哺乳類の位置推定を自動化する方法としてアルゴス衛星による追跡システムの実用性を検討した.まず,位置既知の発信機(Telonics社製 ST-14PTT)を対象に誤差を実測したところ,225m~9500m であった.次いで,2頭の野生グマに発信機を装着したが,位置データはそれぞれ2.8と0.7点/日,位置推定誤差の標準偏差が350m未満のデータは0.50と0.10点/日得られた.アルゴスシステムの性能は今後さらに改善されるが,標高が実測できないので,標高差の激しい日本の山岳地帯で適用する場合,誤差の程度が予測できないことが問題として残る.しかし,最近,GPS で標高も含めて正確な位置を測定した後アルゴスシステムでそのデータを回収する装置が実用化されており,これに期待したい.
  • 宇野 裕之, 玉田 克巳, 平川 浩文, 赤松 里香
    2002 年 42 巻 2 号 p. 129-137
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    2001年9月から12月に北海道東部地域において,2種類のGPS (Global Positioning System)首輪(テロニクス社:TGW-400/GPS/SOB 及びテレヴィルト社:G01-01011)の測位成功率及び測位精度の検証を行った.測位成功率の試験は4つの植生タイプ(落葉広葉樹林,針広混交林,針葉樹人工林,開放環境)及び3つの地形(谷,尾根,斜面)ごとに実施した.テロニクス社製の測位成功率は全ての環境下で97%以上であり,植生や地形の影響は受けなかった.テレヴィルト社製の成功率は83%以上であったが,林冠被度が高くなると成功率が低下した.測位精度試験の結果,誤差距離(accuracy)は,テロニクス社製を用いて4つ以上の衛星から電波を受けた場合(三次元座標)1.5~3.5m,テレヴィルト社製を用いた三次元座標の場合4.2m,3つの衛星から電波を受けた場合(二次元座標)15.6m であった.三次元座標の場合,全測位点の95%は半径30m の円内に入ることが判った.アカシカ(Cervus elaphus)を用いた飼育個体試験の結果,行動は測位成功率には影響しなかった.GPSテレメトリーは野生動物の季節移動や生息地利用を明らかにする上で有効な手法であると考えられた.
  • 出羽 寛
    2002 年 42 巻 2 号 p. 139-151
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    北海道旭川市に隣接する当麻町において,孤立林を含むモザイク的な生息環境である農耕地域でのネズミ類の分布,種類構成,孤立林の利用形態を明らかにするために,森林域(屏風山),3つの孤立林(親山5.1ha,子山 4.1ha,窪山 0.3ha)と農耕地(水田,ビート畑,麦畑,JR 沿線草地,農道横草地,納屋·ビニールハウス)に調査区を設定,1986年6月から1988年11月まで毎月1回(12月から4月までの積雪期間を除く),記号放逐法によるネズミ類の個体数調査を行った.森林域と孤立林ではヒメネズミApodemus argenteus, エゾアカネズミ A. supeciosus ainu, エゾヤチネズミ Clethrionomys rufocanus bedfordiae の3種が主要な構成種であり,農耕地ではエゾヤチネズミ,カラフトアカネズミA. peninsulae, ドブネズミ Rattus norvegicus, ハツカネズミ Mus musculus の4種が主要構成種であった.ネズミ類による孤立林の利用形態には次の3つのタイプが認められた.a)エゾヤチネズミは孤立林を最も主要な生息場所として利用するが,同時に農耕地も普通に利用し,孤立林と農耕地の間で移動が通年見られる.b)ヒメネズミとエゾアカネズミは孤立林だけをすみ場所として利用し,農耕地は秋の移動·分散時の経路として利用した.ただし,面積が小さい場合は孤立林も秋から冬季の一時的なすみ場所として利用した.c)カラフトアカネズミ,ドブネズミ,ハツカネズミの3種は農耕地を主要なすみ場所として利用し,孤立林には主に9月から11月に侵入し,一時的なすみ場所として利用した.
  • 関口 恵史, 小倉 剛, 佐々木 健志, 永山 泰彦, 津波 滉遵, 川島 由次
    2002 年 42 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    座間味島に移入されたニホンイタチ(Mustela itatsi)の在来動物に与える影響を把握するために,夏季および秋季の食性調査を糞分析により行った.その結果,検出された餌品目は多岐にわたり,その中で昆虫類は両季節を通じて出現頻度および乾燥重量比とも顕著に高く,座間味島のニホンイタチは昆虫類を主食としていることが特徴的であった.昆虫類以外の主要な餌品目構成には季節的な変化が見られた.夏季には,昆虫類に次いで爬虫類,哺乳類および甲殻類が高い比率を示し,秋季には哺乳類が高い比率を示した.夏季と秋季における比較では,爬虫類のみに有意差が認められ,秋季の爬虫類の乾燥重量は夏季に比べ大幅に減少した.近年,移入種による在来種(特に固有種)への影響は重大な問題となっているが,今回の調査結果から,座間味島のニホンイタチが在来爬虫類に重大な影響を与えていることが示唆された.また,爬虫類の繁殖能力が他の餌品目に比べて低い点を考慮すると,今後,ニホンイタチが爬虫類に及ぼす影響は深刻になると予想される.さらに,座間味島のニホンイタチは島の上位捕食者であると考えられ,その他の在来種の生存を脅かすことに加え,農業被害や人畜共通伝染病の伝播を引き起こす可能性もあり,一刻も早い対策が求められる.
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