哺乳類科学
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原著論文
三河湾湾口部におけるスナメリの分布密度の季節変化
田口 美緒子吉岡 基柏木 正章
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2007 年 47 巻 1 号 p. 11-17

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抄録
三河湾湾口部におけるスナメリの分布密度の季節変化を明らかにすることを目的として, 2002年8月から2004年9月の海況の良い日に伊良湖―師崎間を航行するカーフェリーに乗船し, ライントランセクト法による目視調査を実施した. 観察者は調査期間中に7,153 kmを調査し, 224群780頭 (うち19組は親仔連れ) のスナメリを発見した.
三河湾湾口部における分布密度は, 冬季から春季にかけて増加 (0.06-2.22 頭/km2) し, 夏季から秋季にかけて減少 (0-0.22 頭/km2) する傾向を示した. この結果と先行研究との比較から, 伊勢湾・三河湾に生息するスナメリは, 秋季に湾外まで分布域を広げる可能性が考えられた. また, 発見頻度の高い冬季および春季の群れサイズが15時以後に大きくなったことと飼育下のスナメリで報告されている採餌量の日周変化から, 三河湾湾口部は, 冬季から春季におけるスナメリの採餌海域の一部であると考えられた.
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© 2007 日本哺乳類学会
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