抄録
千葉県内において環境省3次メッシュ(約1×1 km)を最小調査単位として,2001~2003年にニホンリス(Sciurus lis)の分布調査が実施された.その際に生息が確認されたメッシュについて,2009~2011年にその変遷を調査した.本報では千葉県南部の生息状況の変遷を報告する.生息の確認は主にマツ類球果の食痕によった.2001~2003年の調査で生息が確認された57メッシュのうち,36メッシュ(63%)で引き続き生息が確認された.これまで千葉県では,県北部におけるニホンリスの生息状況の衰退が強調されてきたが,本調査によって県南部でも新たに15メッシュで生息が確認されたものの,同様な衰退が起こっていることが明らかになった.千葉県北部におけるニホンリスの生息衰退については,マツ林面積の減少がその要因であることが示唆されてきた.千葉県南部では県北部に比べて森林面積が多いものの,マツ林の減少は県北部より早い年代から進行している.今後,マツ林が少なく常緑広葉樹林が優占する県南部におけるニホンリスの生態,およびより詳細な生息状況の解明が必要である.