抄録
資源選択関数(resource selection function, RSF)は資源のある1単位が選択される確率に比例した値を推定する関数であるが,定義が漠然としており用いられるデータや関数の形式が多様であるため,理解しにくい面があった.本論文では,選好度の異なる2種類の資源を含む20×20セルの方形区内における架空動物の移動をシミュレーションし,移動軌跡から異なる3タイプのデータ(1-0データ,カウントデータ,生存時間データ)を生成して,データのタイプに応じて異なるRSFモデルが適用されることを説明した.さらにサンプリング間隔と追跡期間を変えながら選択確率の相対比を推定し,推定値の偏りと変動を調べた.1-0データに基づくロジスティックモデルでは,追跡期間を長くしてセルの多重利用が起こると選択確率比の推定値に偏りが生じ,サンプリング間隔を長くすると推定値の変動が増大した.カウントデータを使用したポアソンモデルでは推定値の系統的な変化は認められなかったが,推定値と選好度の値はシミュレーションの選択過程の設定に起因する一定の差を示した.コックス比例ハザードモデルでは,サンプリング間隔とともに推定値の偏りが変化した.こうしたシミュレーションによるモデルの検証は,RSFの基本を理解する上でも,異なるモデルの特性を比較検討する上でも有益である.