2014 年 54 巻 2 号 p. 269-277
ヤマネGlirulus japonicusは本州,四国,九州,隠岐島後に生息するが,これまでに実施された全国分布調査は少ない.ヤマネの生息情報は近年ウェブ上で多く見られるようになったので,検索エンジンでその生息情報を収集し生息分布図を作成した.ヤマネの生息情報件数は年々増加の傾向にあり,その多くは中部地方に集中した.次いで関東・東北地方であり,一方,中国・四国並びに九州・近畿地方は少なかった.この地域間の差異は,森林面積の割合より高標高地の面積の割合に大きく関係していると考えられた.1年を通じてヤマネの生息情報が得られたが,生息情報件数は夏期に多く冬期は少なかった.正確にヤマネと同定可能な多くの情報が得られるため,インターネットを活用したヤマネの生息分布情報の調査は有効だと考えられる.