哺乳類科学
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短報
九州南部に生息するニホンアナグマMeles anakumaの冬季における活動について
船越 公威松元 海里
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2018 年 58 巻 2 号 p. 221-226

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抄録

九州南部の鹿児島市において,ニホンアナグマMeles anakumaの冬季活動を知るため,2016年12月から2017年3月に自動撮影カメラを利用して調査した.冬季のねぐら場所は固定しており,2個体が利用していた.両個体の巣外活動は同調していた.巣外活動停止の開始は12月22日で,その主要な外因として気温よりも光周期が示唆された.夜間の巣外活動は12月下旬から著しく低下した.その後,比較的短時間の巣外活動が3月初旬まで断続的にみられた.外気温0~3°C下でも巣外活動がみられ,気温低下と巣外活動に関連性はみられなかった.巣外活動停止(3日以上)に周期性がみられ,その間隔は平均11日であった.巣外活動が3日以上停止した1月5日から3月5日を冬眠期間とすると,50日となった.この冬眠期間は,東京都日の出町や山口市のアナグマの冬眠期間より短く,低緯度の鹿児島市では冬眠期間が短いことが明らかになった.

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© 2018 日本哺乳類学会
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