2025 年 65 巻 1 号 p. 37-44
特定外来生物アライグマ(Procyon lotor)の防除において,生息確認等のモニタリングは重要である.アライグマ餌トラップはアライグマの訪問を確認するトラップであり,安価で簡単に作成することができる.しかし,検出力など生息確認手法としての有効性は分かっていない.そこで本研究ではアライグマ餌トラップについて,生息確認手法としてのアライグマの訪問検出力(1訪問あたりの偽陽性率・偽陰性率)を調べた.また,既存の手法との比較として,カメラトラップ法との関係を検証した.その結果,餌トラップの食肉目の訪問1回に対する偽陽性率は0.00と低く,偽陰性率は0.66(95%信用区間0.55~0.76)と高かった.また,カメラトラップ法による撮影頻度と餌トラップの判定結果には有意な関係があり,撮影頻度が高いほど陽性と判定される傾向があった.以上の結果から,餌トラップは生息確認手法として一定の有効性が示唆された.1訪問あたり偽陰性率は高かったが,本調査で偽陽性は確認されなかったため,長期間大量に設置するなど運用方法を工夫することで有効的な手法となる可能性がある.