マーケティングレビュー
Online ISSN : 2435-0443
査読論文
ゲイン・ロスフレームが特定保健用食品の購買意思決定に及ぼす影響
原 広司佐藤 圭小林 哲
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ジャーナル オープンアクセス HTML

2023 年 4 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

日本では生活習慣病予防が最重要課題であり,特定保健用食品は経済活動を通じた健康増進政策の一つである。健康増進の観点では,行動経済学・ナッジにおけるゲインフレームを用いることで健康活動を促進することが知られている。本研究はこの知見を特定保健用食品の説明文に応用し,ゲインフレームが購買意思決定に影響を与えるかどうかについて層別化RCTを用いて検証した。その結果,ロスフレームよりもゲインフレームの方がWTP(Willingness To Pay)を高めることが明らかになった。一方で,購買意思決定に対する影響は確認されなかった。ゲインフレームは主観的価値を高めるものの,購買促進に影響するかどうかはさらなる検証が必要である。健康増進と経済活動の二面性を持つ特定保健用食品では,行動経済学・ナッジおよびマーケティングの知見を組み合わせた新しいアプローチが重要である。

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© 2023 The Author(s).

本稿はCC BY-NC-ND 4.0 の条件下で利用可能。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
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