マーケティングレビュー
Online ISSN : 2435-0443
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査読論文
  • ― 広島東洋カープ,横浜DeNAベイスターズ,読売ジャイアンツの比較事例研究 ―
    田中 江里華
    2021 年 2 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    日本におけるスポーツビジネスの発展は重要な課題であり,野球単体で黒字化が難しいプロ野球業界では近年マーケティングの活用が進められてきた。一方で,広島東洋カープは12球団中唯一親会社を持たず45年間黒字を継続している。本研究は,その長期的競争優位の因果構造を,JCSIの枠組みを用いてロイヤルティ形成という視点から考察する。読売ジャイアンツ,横浜DeNAベイスターズを比較対象とし,因子分析と共分散構造分析で定量的に研究した。その結果,各ファンが評価する球場体験,球場サービスの便益の違いが浮き彫りになり,カープファンは観戦を通したファン同士の繋がりと自己実現を評価し,成績に左右されない顧客満足が実現できている事がわかった。さらに,三球団に共通して試合に関する要素が顧客満足やロイヤルティに強く影響する一方,試合と関連の低い球場体験は顧客満足に影響すると言いきれない事と,ロイヤルティが同化意向,協力的行動に影響している因果構造が明らかとなった。顧客の求める価値を理解し,主観的・客観的な便益を強化することが,企業と顧客の高次で長期的な関係性に寄与すると示唆された。

  • ― 関係人口時代における新たなブランド戦略構築に向けて ―
    若林 宏保, 中村 祐貴, 徳山 美津恵, 長尾 雅信
    2021 年 2 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    人口減少に喘ぐ地方都市は,人々との関係性を育むためにブランド戦略の再構築が求められている。その基となるブランド力指標の多くは,都市の相対的な位置付けを把握するには適するものの,人々を引きつけるブランド・ストーリーを導くような意味構造の把握は難しい。本研究ではその課題解決のために,都市に対する行動意向と意味構造の調査を実施し次の分析を行った。まず,従来の地域ブランド指標に関係人口の概念を包含し,都市への行動意向の指標化を試みた。因子分析によって3つの行動意向(生活因子,体験因子,貢献因子)を導出した。次に3つの因子の平均因子得点から階層的クラスター分析を行い,都市のイメージ連想を4つに類型化した。それぞれリッチ・ストーリー型,ユニーク・ストーリー型,コモディティ・ストーリー型,ノン・ストーリー型と命名した。最後に各クラスターにおける意味構造の特徴を「ワードの数」「ワードの意味」「意味や文脈の構造」の3つの観点から捉え,戦略的示唆を提示した。研究の展望では,外的妥当性とブランディングの有効性を高める方途について言及した。

  • ― 自己の行動変容への類推に着目して ―
    木暮 美菜, 諸上 茂光
    2021 年 2 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    ダイエットなどの消費者自身の変化を期待する「行動変容促進型商品」は消費者の努力の程度によって商品から得られる結果が異なる。そのためダイエット器具の口コミを閲覧する消費者は,口コミ閲覧者自身が可能な努力の程度によって口コミに対して知覚する共感感情が異なり,口コミから類推する製品の評価や購買意思決定が異なると予測される。そこで本稿は口コミ閲覧者の自己効力感とダイエットに対する価値の知覚によって,ダイエットの口コミに対する認知的共感,情動的共感が異なること,知覚する共感の違いによって製品評価やダイエット器具の効果の予測が異なることを場面想定法を用いたアンケート調査から検証した。分析結果より消費者の自己効力感やダイエットの価値の知覚によって口コミに対する認知的共感,情動的共感が異なること,口コミ閲覧者の自己効力感は成功口コミへの共感に関係し失敗口コミへの共感には関係しないことが確認された。また口コミに対する認知的共感はダイエット器具のダイエット効果の予測を高める一方で,口コミに対する情動的共感はダイエット器具の製品評価に影響することが確認された。

  • ― 「いいね」や「閲覧」数はユーザー行動に影響を及ぼすのか? ―
    松井 彩子
    2021 年 2 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    近年,企業と消費者のコミュニケーションツールとしてはもちろん,消費者間の情報伝達手段としても,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下,SNS)は必要不可欠である。SNS上の情報に大多数のユーザーが関心を寄せた状態は,バズや炎上と呼ばれる。本論は,このバズや炎上のメカニズムの背景にある大多数の他者に着目し,社会的影響研究の理論に立ち返って,大多数の他者の集積がその他のユーザーに及ぼす影響を実証することを目的とする。実証には,シナリオ設定の実験手法を用いた。大多数の他者の集積規模の大小,情報発信者の持つフォロワー数の大小の,2×2の4つの実験群を設計した。各実験群につき464人,総計1,852人の被験者からの回答を得た結果,情報発信者の属性に関わらず,大多数の他者の集積数が大きいことが,それを目にした情報受信者のユーザー行動に正の影響を及ぼすことを実証した。具体的に,行動を起こす障壁が低い,「いいね」や「シェア」を付与する意向,並びに,行動を起こす障壁が相対的に高い,ブランドの情報収集意向,ブランド購買(利用)意向が高まることが明らかとなった。

  • 水師 裕, 高橋 望, 田口 功一郎
    2021 年 2 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    本研究の目的は,西洋的な近代合理主義から捨象された幸福やウェルビーイングの側面および消費の側面を取り入れた新たな主観的ウェルビーイングの測定尺度を開発することにある。本研究では,はじめにブリコラージュ,エンジニアリング,セレンディピティ,リーンの4つの観点からなる概念モデルを提案した。次にこの概念モデルに基づき尺度項目の開発を行った。開発された尺度には「消費における主観的ウェルビーイング4類型尺度(SWB-QSIC)」と名付けた。最後に,SWB-QSICと主要な既存の主観的ウェルビーイング尺度であるDiener, Emmons, Larsen, and Griffin(1985)の開発した人生満足度尺度(SWLS)との関連,ならびに,実際の消費者行動として余暇活動の頻度との関連を吟味した。これにより,北米を中心とした主観的ウェルビーイング研究を翻訳して使用することの多い我が国のマーケティング研究の流れに対して,新たな視座を提供した。

  • 阿曽 真紀子
    2021 年 2 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    本研究では,サービスエンカウンターでの価値創造の資源統合について再検討し,価値共創における社会的な文脈の重要性を議論する。サービス提供者がサービススクリプトを活用することでさまざまな資源を統合させ,またそれを記録することによって顧客のサービス再利用の際に価値共創の品質をより高めることを可能にしていることを指摘する。事例として,多くの再利用者を扱う美容師と顧客のやり取りを調査し,美容師である店長が顧客と相互作用するプロセスをどのように記憶し,サービススクリプトに何を記録しているのか,また,記録したサービススクリプトをどう再利用しているのかを観察とインタビューを通じて探索した。

  • 加藤 拓巳, 狩野 英司, 細井 悠貴
    2021 年 2 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2021/02/26
    公開日: 2021/02/26
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    日本企業では,開発とデザインの溝が深く,デザインが企業経営に活かせていないと指摘される。それに対し,AppleやDysonでは,デザインとエンジニアリングを統合し,デザインに優れた製品・サービスを創出している。学術研究においても,デザインの効果的な活用には,デザイン責任者を設置し,全社戦略にデザインを組み込み,部門間調整においてデザイン部門の妥協を減らすこと,が訴えられている。しかし,企業規模によって多様な文化の違いが指摘されているにもかかわらず,上記はそれが考慮されていない。本研究では,まだ議論が不十分である,デザイン責任者が経営参画する組織の特徴を大企業と中小企業別に評価した。その結果,大企業では,ビジョン策定やデザインの社内への浸透を担うデザイン推進組織が設置されている傾向が確認された。一方で中小企業では,製品・サービスのマーケティングに関与するデザイナーとプロトタイプによる議論の活性化とユーザビリティテストにアジャイル型プロセスの開発を導入している傾向が見られた。デザインを活用するためには,組織規模を踏まえ,適切な対策を実施することが求められる。

編集後記
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