抄録
モデルの広告効果に関する既存研究では,外見的特徴,及び内面的特徴が商品特性と合致していることが重視されてきた。しかし,それら既存研究の対象は,著名人モデルと一般人モデルに限定されている。最近は,低コスト・低リスクの観点から,人工知能(AI)が生成したモデルの広告起用が注目されている。そこで,本研究では,「AIモデルの私生活設定と商品特性が合致すると広告の商品魅力は高まるか?」というリサーチクエスチョンを設定し,ランダム化比較試験を実施した。その結果,洗濯用洗剤広告のAIモデルを対象とした場合,独身よりも,既婚・子ありという属性設定が商品魅力を高めることが明らかになった。本研究結果は,広告の著名人・一般人モデルに関する知見が,私生活が存在しないAIモデルにも適合することを示しており,学術的知見を拡張するとともに,実務家に有益な示唆を提供した。