抄録
本研究の目的は,複数商品の購買行動間の因果関係を消費者セグメントごとに探索するためのモデルを開発することである。経済時系列解析において,複数時系列間の因果関係を同定する方法の一つにグレンジャー因果性分析があるが,本研究では潜在クラスを導入することで,消費者セグメントごとに各商品の購買行動間のグレンジャー因果性を探索するモデルを開発し,スキャナーパネルデータに適用する。これにより,デモグラフィック属性等の異なるセグメントごとに,適切な商品プロモーション活動を推測することが可能となり,また当期のプロモーション等のマーケティング変数の影響を除去した,選好の時間的推移やロイヤルティーを理解することも可能となる。