2015 年 29 巻 8 号 p. 275-295
この論文では,日本語の初級文法項目の中でも多くの動詞と接続して使われるものと,限られた動詞とのみ接続して使われるものとがあることに注目し,その度合いを「生産性指数」として可視化することを目的とする.7つの指標を候補として立て,BCCWJ から 103 項目を検索したデータを対象にそれぞれの指標を計算して比較するという手順を踏んだ結果,Guiraud Index の式を流用したものが最もよい結果を出すことがわかった.このようにして可視化された生産性のランキング表からは高生産性語は時を表す項目に偏り,また,話し言葉的な項目の方が生産性が低いという傾向が一貫して見られるなどの特徴が見出される.生産性の大小がわかれば,その項目を色々な動詞で練習する必要があるのか,それとも限られた項目だけを重点的に覚えればよいかがわかるため,日本語教育における導入法や指導の比重の議論を行う際などに重要な情報となる.