医学・医療統計の分野で用いられることの多い「リジット解析」という統計手法が,言語研究における計数データの分析において,各群あるいは各変数カテゴリーの相対的な大きさやその差を直観的に評価する手法として有用であることを述べる.リジット解析は,本来,群×質的変数の分割表があるとき,変数の順序カテゴリーをリジットという尺度値に変換し,それをもとに各群の平均値(平均リジット)を求める(数量化する)もので,その考え方と計算法はきわめて平易である.小稿では,リジット解析を先行調査研究のデータに適用することによって,本来の質的データの群間比較のほかにも,量的データの群間比較,さらには,2変数の分割表におけるそれぞれの順序カテゴリーの数量化にも適用できることを示し,その(探索的な手法としての)有用性を確認する.