本研究は,大規模コーパスを用いて,海外教室環境,日本国内教室環境,および日本国内自然環境で習得する日本語学習者の対話のなかに現れる「のだ→んだ」や「いろいろな→いろんな」のような音声転訛,16表現の使用実態を日本語母語話者と比較分析したものである.分析の結果,日本語母語話者は,丁寧体基調の対話であっても,16表現のうち4表現のみで原形を多く使用し,そのほかは転訛形を多く使用していることが明らかになった.一方で,学習者は,表現と学習環境によって,母語話者と同じような傾向を示すものと,そうでないものがあり,6つのグループに分類することができた.調査の結果は,日本語教科書での扱われ方からも推測できるものであり,学習環境や使用する教科書に合わせてどのように指導すべきか,日本語教育の現場のための留意点を示す.