計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
2020年度テーマ特集 計量的言語データ分析と日本語教育
異なった学習環境における日本語使用の正確さと複雑さ
日本語学習者コーパス(I-JAS)の分析に基づいて
迫田 久美子細井 陽子
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 32 巻 7 号 p. 403-418

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抄録

本研究の目的は,日本語学習者コーパスI-JASのデータに基づき,学習環境の違いが言語使用にどのような影響を与えるのかを「正確さ」と「複雑さ」の観点から分析を行うことである.具体的には,3つの異なった学習環境の日本語学習者のストーリーテリングの言語使用をTユニットや節数等によって比較分析する.第1群は,自国の教育機関で日本語を学ぶJFL群,第2群は,来日後,教室環境で学ぶJSL-C群,第3群は,日本に在住し,教育機関には通わず自然習得によって日本語を学ぶJSL-N群である.3群のデータを統計分析した結果,JSL-N群は,JFL群やJSL-C群に比べて,正確さと複雑さの両面において優れていること, JSL-C群はJFL群とあまり差がないことがわかった.しかし,JSL-C群はJSL-N群と同様,JFL群に比べて並列節を用いて長い文を生成していることがわかり,複雑さの発達の前段階であろうと推測された.

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© 2020 計量国語学会

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