2020 年 32 巻 7 号 p. 387-402
本論文では,日本語学習者の接続表現の使用傾向の分析から,接続表現の使い方の問題点を見つけ出し,適切な指導法の提案をおこなった.分析手法として大規模コーパスから作成した接続表現リストを用いて,「基本と派生」「指示語」「辞書記載」「意味機能」の4つの観点から接続表現を分類し,学習者論文や学習者作文を含む5つのコーパスの接続表現の使用傾向を比較した.分析の結果,学習者作文での接続表現の使用頻度が最も高く,特定の意味機能を持つ接続表現を多用していることがわかった.そして,同程度の日本語レベルの学習者によって記述された文章でもレジスターの違いにより接続表現の使用傾向が異なることがわかり,学習者の書いた文章の分析では複数の異なるレジスターを用意する必要性が示された.