松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
静脈血培養にて診断した国内発症の腸チフスの1 例
河野 通盛清水  幸恵村脇 義之安積 貴年三浦 将彦大嶋 直樹田中 新亮吉村 禎二山田 稔
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キーワード: 腸チフス, 国内発症, 不明熱
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 14 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

症例は松江市在住の18 歳の女子高校生で、2008 年2 月初旬に1 週間大阪市内のホテルに滞在後、40℃の発熱と食欲不振を自覚して近医を受診し不明熱として当院に紹介となった。初診時は発熱を中心とした臨床経過と検査所見より、急性ウイルス感染を第一に考え入院経過観察となった。入院後熱型より敗血症を起こしている可能性が考えられ、投与中の抗菌剤中止後48 時間で静脈血培養2 セットを提出したところ、血液培養検査の1 つより腸チフス菌を検出して診断が確定した。診断後キノロン剤を投与して症状消失し、2 回の便培養陰性を確認して退院となった。本例は全く海外渡航歴がなく、現在では稀な国内発症の腸チフス例と考えられたので若干の文献的考察を加え報告する。

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