抄録
手術室では,術中保温器具として,水循環式体温維持装置,電気パッド加温装置を使用しているが,側臥位手術では使用しにくく,十分な保温ができていないのではないかと考えた.そこで,側臥位手術において,アルミシートと吸湿性の布を組み合わせた保温具(上肢,下肢,肩用)を作成し,従来の保温方法と新しい保温具を使用した方法での術中体温データを収集・集計し,各保温方法での測定部位別体温(前腕皮膚温,指先皮膚温,膀胱温)の平均値の差をt 検定によって分析した.その結果,膀胱温・前腕皮膚温において,入室時から退室時までのほとんどの時間帯で,保温具群の方が有意に温度が高かった.また,シバリングの発生状況と発生時の体温についての関係性は示されなかったが,シバリングが発生する可能性が高いといわれる退室時中枢温35.5 ℃以下となったのは,明らかに保温具群の方が少ないという結果となり,今回作成したアルミシートを使用した保温具は術中体温保持に有効であった.