松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
くも膜下出血による症候性脳血管攣縮を発見した熟練看護師の気づきとその過程
長谷川 精一佐々木 志帆服部 伊佳森 さつき村上 知美
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 18 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
本研究の目的は,くも膜下出血患者の症候性脳血管攣縮を発見した熟練看護師が,何をわずかな変化として捉え気づいたか,その内容と過程を明らかにすることである.集中治療室(ICU)または脳神経外科病棟勤務経験5 年以上で脳血管攣縮管理の経験がある看護師を対象に,フォーカスグループインタビュー法を行った.その結果,わずかな変化として捉えた気づきの内容として,2 つの【カテゴリー】と4 つの《サブカテゴリー》が,また気づきの過程として1 つの【カテゴリー】と3 つの《サブカテゴリー》が抽出された.わずかな変化として捉えた気づきの内容は,【身の置き所がないような動き】と【表現の違和感】に分けられた.熟練看護師はわずかな変化に気づく際,バイタルサインや水分出納などの数値で表わされるデータではなく,患者の動作や表現,せん妄などの類似した症状を意識しながら注意深く観察し,経験に基づいた直観を重視していることが推察された.そして,気づきの過程として,入院前の生活動作と入院後の生活動作を流れとして捉え,《流れの中で見る》という視点で変化を察知しようとしていた.さらに,変化が出やすい《時期に焦点を絞る》ことと,変化を感じたときは《複数の目で確かめる》という過程を執っていた.これらの過程は,熟練看護師ならではの【わずかな変化に気づくための観察眼】と示唆された.
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© 2014 松江市立病院
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