抄録
【背景】松江市立病院(以下,当院と言う)は、平成27 年7 月に地域医療支援病院(以下,支援病院と言う)を取得した.平成25 年度当時では,紹介率,逆紹介率は低く,取得の要件とは大きな差があった.また,慢性期に移行した外来患者をかかりつけ医へ紹介する「逆紹介」を推進することは,急性期病院にとって重要なことである.ところが,当院には症状は安定しているにもかかわらず,長期間受診し続けている患者が少なくなかった.支援病院の取得に向けて逆紹介率を向上させるために,地域医療課(以下,当課と言う)では,平成26 年5 月から,逆紹介の推進に取り組んだ.【目的】平成26 年5 月から当課が逆紹介推進に向け,かかりつけ医を決めるために行った取り組みの有効性を検討し,今後の地域連携に生かすこと.【方法】当院へ通院中で症状の安定したかかりつけ医のない患者に,かかりつけ医を選んでもらうように,面談を開始した(第1 段階).次に,逆紹介につながらない患者の要因について検討すると,「移動手段の確保」「かかりつけ医の専門性」「当院との連携」があり,それに対応しながら取り組んだ(第2 段階).さらに,初診時から逆紹介の理解を得るための説明をしていった(第3 段階).【結果】平成26 年5 月~平成27 年9月の間に,外来から依頼のあった患者60 人中53 人を,逆紹介につなげることが出来た.【結語】患者がかかりつけ医を選ぶ要因として,1)受診するための移動手段の確保,2)かかりつけ医の専門性,3)当院との連携の継続性の3 つが影響しており,各々にアプローチすることで,かかりつけ医を決定しやすくなる.また,逆紹介の推進には,初診時などの早い段階からの患者へのアプローチが有効であると考えられた.